ハナ2
三十分が経過してもやはりそれらしき手掛かりは見付からない。
そもそもフィックションの小説ならばこういう事も書いてあるだろうが、それは全くと言って良い位参考にならない。
「時間を狂わせる妖怪なんて聞いた事ねえしな」
なんだかんだ言って淳司もぺらぺらと目の前に積み上げられた本を捲っている。余りにも暇だったので何もせずにはいられなかったのだ。
だが、
「……真島君がいるなんて珍しいね。雨が降る訳だ」
亜季に勝るとも劣らぬ毒を吐く人物を淳司は凝視する。
視界には黒い人物が物珍しそうな視線をこちらに向けている。
「黒さん?」
「黒霧先輩?」
史記は二人のもとにやってきて、
「で、何を調べているのかな?」
ふむ、と小さく呟きながら史記は言う。
「……今度の部の会誌に載せる為の資料集めです」
亜季はしゃあしゃあとでまかせを言った。
文芸部は年に二度会誌を発行している。