ひゃっほう

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黒さん

黒さん

「……黒さん。この現象には翔子や総司、ジャックも巻き込まれている」

一拍間を置いて、呟く。

「しかも性質が悪い事に、全員、『時間が止まればいい』みたいなことを昨日、口走ってるんですよ」

俺を含めて、と淳司は神妙な面持ちで告げた。

「……時間は、どの位あるんでしょうか?」

亜季は焦りをかみ殺すかのように尋ねる。

史記は俯き、

「……長ければ、一週間、短ければ、三日……って他の人は言ってた」

更に続ける。

「そして、期間内に物語が紡ぎきれなかった時、妖精は他の物語の材料にする為に、登場人物のもっとも大事なものを持ち去る」

それは、まるで死の宣告のように、二人の鼓膜に重く、静かに響いた。

雨の中、亜季と淳司の足取りは重い。

『……長ければ、一週間、短ければ、三日……』

『そして、期間内に物語が紡ぎきれなかった時、妖精は他の物語の材料にする為に、登場人物のもっとも大事なものを持ち去る』

史記の言葉が脳内に反芻される。

何を話せば良いのか亜季にはわからない。

周りの誰の願望を叶えてこのような状況に陥ったのかもわからない。その犯人はひょっとしたら自分なのかもしれない、と思うと怖い。

淳司が、自分のことを自分自身が思っているように疑っているのだとしたら、怖い。