恐怖
だが何よりも怖いのは。
淳司が自分の事を疑っているのでは、という疑いを自分自身が持っていることがもっとも怖い。恐怖に耐え切れず、疑いを彼に向けてしまうことが怖い。
どうすればいいのか。
何をすればいいのか。
全くわからない。
(……何を、どうすればいいの?)
雨の降る灰色の空を睨む亜季の視線は険しい。
しばらくそうして歩いていると。
唐突に手が握り返された。
「……そんな青い顔、してんなよ」
俯く顔をあげると淳司の顔は蒼白だ。
そっくりそのまま台詞を返してやりたい位だ。
「まだ、二日、ある。それに、俺達だけじゃないんだ。皆がいるんだ。きっと何事もなく、解決出来るさ」
力強く、自らを奮い立たせるように淳司は頷く。
「……そうだね」
孤独な雨の中、二つの傘は寄り添う様に道を歩いた。