車1
三度目の二月十三日の昼、亜季と淳司は皆に事情を説明しはじめた。
この現象が物語を紡ごうとする妖精の仕業だと言う事。
期間内に物語を完結させなければ、登場人物のもっとも大切なものが奪われること。
そして。
「じゃあ……五人の中にこの矛盾の元凶がいるのか!」
総司は興奮気味に叫ぶ。
「総司、落ち着きな」
亜季が冷静に、しかし凄みの入った声で注意する。
「……ごめん。かなり興奮しているな」
呟くと総司は椅子に力無く座る。
「……でも、ボク達、どうすればいいネ?」
ジャックの質問に亜季は、
「まず、妖精がどんな物語を紡ごうとしているのかを考える必要があるね」
椅子から立ち上がり、黒板に白のチョークでかつかつと何かを書き出している。
「昨日考えたんだけど、私としては望みを叶えられたのが誰であろうと、これが原因だと思う」
書き出されたのは、『時間停止』の四文字。
「皆、勿論、私が言わんとしていること、わかるよね」
「全員が『時が止まればいいのに』といった類の内容を話したってことだよね」
翔子がそう言うと亜季は頷く。
「皆、時が止まって、どう思った?」
亜季は問う。
淳司に目配せし、発言を促す。