会誌
会誌に作品を載せるのは部員の数少ない義務であって、その内の一回は、来年度の新入生歓迎用にと作られるものだ。
例年ならば、大概の文芸部員はこの時期に資料などを集めて書き出すか、筆の進みの遅い者は、あらかじめもっと早く執筆に取り掛かっている。
「黒霧先輩はどうして?」
逆に亜季は漆黒の人物に切り返す。
「私は個人的な調べもの」
確かに彼女はここ数日は遅くまで部室に残っていた。それはどうやらこの図書館で調べ物をしているからのようだ。
彼女は興味深そうに並べられた本を見渡す。
「そうだ黒さん。『文学の漆黒』として聞いて欲しいんですけど」
淳司は突然思いついた質問をぶつけてみせる。巧くいけば何かのヒントになるかもしれない。
「時間を繰り返す事について、どう思います?」
「……時間を繰り返す」
すると、彼女の表情がすっ、と消えた。まるで人形を思えわせるような暖かさも冷たさも感じさせない無機的な顔。そして、並べられた本を見渡す。