されど
「……さっきは、失言だったヨ」
ジャックも詫びの言葉を言った。
「それによ、犯人、自分でも自覚がないんじゃねえのか?」
淳司は自分で思ったことを口にする。
「どうして?」
総司が不思議そうに尋ねる。
淳司は、
「だってよ、お前らが俺達の『もっとも大事なもの』を、自分のせいで失うってわかってたら、自分から言っていると思うんだ、俺」
偽らざる本心を言う。
「だから、俺を含めてさ、犯人は自覚がねえんだと思う。俺はそう思うんだ」
自らに言い聞かせるように淳司は言う。
「それなら、この状況、確かに説明がつくね」
にっこりと微笑みながら総司が賛成する。
「……でも自分を疑わなきゃいけないなんて、ちょっと怖いな」
怯えたように翔子が呟くと、
「大丈夫。こういう時の『トモダチ』ネ」
ジャックが勇気づけるように翔子の背中を軽く叩く。
(……結束の方は、これでOKだ)
一生分の思考力を脳につぎ込み、淳司は思考する。
(……問題は亜季だ)
どうするか。
ショック療法がいいのか。
それとも、優しく何か言葉を掛けた方がいいのか。
普段通りにしていればいいのか。
それすらもわからない。
彼女がこんな弱さを持っているとは思えなかった。
目の前にいる彼女は『瀬川亜季』とは違う人物なのではと錯覚を起こすほどだ。