停滞
早口で捲し立てる。
「時間の停滞を体感していない私が、君達の体験を信用するというのは君達にとって信じられない出来事だろうけど……記憶をなくした私は、藁にも縋る溺れる者なのよ」
彼女は自虐的に微笑み、そして、
「……君達には、私と同じような体験はして欲しくない……」
苦しげにうめく。
それを見て、
「……先輩の知っている事を教えて下さい……そうでないと対策が立てられません」
亜季はぼそりと呟いた。
「まず、これが妖精の仕業だとするなら目的は一つ」
史記は大きく息を吸う。漆黒に包まれた彼女の姿はどことなく儚げに見える。
「それは物語を紡ぐこと」
「物語?」
二人の口から全く同じ口調で言葉が紡がれる。
「私は妖精達と関わったという事以外は全て記憶から消去されてしまったけど……全国から見つけ出した人の証言からはそう言われている」
「具体的にはどういうことなんでしょう?」
亜季の問い掛けに、史記は言葉を探すように視線を宙に泳がせる。
「そうだね。じゃあ、君達はこの現象に対してどんな感想を持った?」