バッドエンド
史記は良い所に気付いた、とにこやかに微笑む。
「その通り。だから、この舞台には不確定な要素が沢山盛り込まれているみたい。私の時もそうだったけど……バッド・エンドがあるのはそのせいなの」
つまり、妖精自身も物語の結末まではわからないの、と史記は呟く。
「そしてもう一つ。こっちもかなり重要な話」
二人の喉が鳴る。
「実は、妖精だけではこの舞台は整わないの」
「……どういうことですか?」
史記は俯き、決意するように表をあげる。
「簡単に言うと、人の願いに呼応して妖精は現れるの」
二人の表情が固まる。
「この現象に巻き込まれた人の中に一人……妖精から望みを叶えられた人がいるの。その人の、心の奥底の願望を叶える為に妖精は舞台を整え、役者を用意する」
淡々と史記は語る。
「そして、それを体感して登場人物がどう思い、どう変わっていくか、物語を読む者に何を訴えようとしているかを知ってもらう」
そして、彼女は言った。
「だから……言いずらいんだけど……二人のうちどちらかに」
「……私達五人の中に、いる訳ですね。願望を叶えられた者が」
亜季は独白するように呟く。
その様子に史記は眉を顰める。